のぞみ歯科口腔外科 院長の豊留です。
引き続き、「親知らず」に関する情報をお届けいたします。
前回まで、親知らずに関するいろいろな情報をお伝えしました。
ではそもそも、親知らずの抜歯は大変な処置なのでしょうか?
「抜歯をするのにとても大変だった」
「思っていたより大変ではなかった」
「入院して抜歯した」
「すぐに抜歯がおわった」
など、いろいろな方にお話しを伺うと、千差万別の感想です。
なぜこのようなことになるのでしょうか?
一言に親知らずの抜歯といっても、その難易度や経過は患者さんごとの差が大きいのが事実です。今回は、親知らずの抜歯の難易度にかかわる要素をいくつかご紹介いたします。
①年齢
はっきりとした根拠があるわけではありませんが、往々にして10代~20代の患者さんと比較して、40代以降の患者さんの抜歯は難易度が上がります。同じような埋まり方をしている親知らずであっても、年齢が上がるにつれて抜歯が難しくなり、術後の症状も強くなる傾向にあります。これは、年齢を重ねることで骨が固くなってしまい、抜歯の際のしなやかさがなくなるためです。
②親知らずの深さ
これは想像しやすいのではないでしょうか?実際に、親知らずの深さに応じて抜歯の難易度を決めるWinter分類というものが存在します。その他にも、顎の神経との接触具合等、深さによって難易度は一気に変わります。
③上の親知らずか、下の親知らずか
同じような埋まり方の親知らずであれば、上の親知らずよりも、下の親知らずの方が抜歯に時間がかかる傾向にあります。術後の症状も下の親知らずの方が強くでます。これは、年齢の要素と同じで、下顎の方が上顎よりも骨が固いためです。
④歯の根の形
親知らずの根の形によって難易度が変わります。例えば、先細りの1本だけの根であれば、抜くときに骨と干渉しないため比較的容易に抜歯できます。逆に、根が分かれている・曲がっている等で先太りの根であれば、骨との干渉を解除しなければ抜けてきません。この場合、周囲の骨を削る場合や、歯を複数に割る等、処置のレベルが上がってしまいます。
⑤炎症の状態
慢性的に親知らずが炎症を起こしている場合、この炎症に打ち勝つために骨が固くなることがあります。この場合、X線写真にて骨の色が白くなっており、抜歯ば難しくなると想像されます。一方で、極端に感染が進んだ場合、逆に親知らず周囲の骨が溶けていることがあります。この場合、骨と親知らずが分かれているため、ある意味簡単に抜歯ができますが、術後出血や腫れは強くなる傾向にあります。
⑥親知らずに虫歯があるか無いか
親知らずそのものが大きな虫歯になっている場合、抜歯が難しくなります。これは、虫歯により親知らずがもろくなってしまい、器具を用いて親知らずに力を掛けようにも、親知らずがぽろぽろとかけてしまい、力を掛けられなくなるためです。
これらの要素以外にも、様々な観点から親知らずを分析し、難易度を判断しています。
そのため、親知らずの抜歯といえども、その難易度はすごく簡単なものから、著しく難しいものまで千差万別なのです。
のぞみ歯科口腔外科では、親知らずの抜歯を行っております。抜歯に際しては、今回ご紹介した要素など、患者さんごとの状態を考慮して抜歯後の経過等の説明を行っております。そのため、埋まり方や患者さんの全身状態等によっては、安全上の観点から大きな病院をご紹介させて頂く場合があります。
のぞみ歯科口腔外科
歯科医師 豊留宗一郎