
写真に写った奥歯の銀歯が気になり始めた方へ
集合写真や鏡でふと目に入る奥歯の銀色。笑うときに口元を手で覆ってしまう、という声は少なくありません。以前治した部分の境目からむし歯が再発した経験があれば、見た目に加えて持ちの良さも気になるところでしょう。この記事では、当院が採用するジルコニアの白い歯について、部位別の種類と費用(税込66,000円〜121,000円)、治療の流れ、素材選びの考え方を整理します。費用と耐久性の両面から、ご自身で納得して選ぶための判断材料をまとめました。
この記事の要点まとめ
- 銀歯からジルコニアへの移行は費用66,000円〜121,000円で部位により選べる
- 治療は検査・型取り・装着など数回の通院で進み精密な設備を活用している
- 費用面では部位ごとの優先順位づけや段階的な計画、装着後のケアが重要となる
- 銀歯からジルコニアへ|白い歯を選ぶ前に知っておきたいこと
- 銀歯が気になる背景とジルコニアという選択肢
- 部位別に見るジルコニア治療の種類と費用相場
- 治療の流れと精密な作製を支える院内設備
- 費用と耐久性の疑問に向き合う素材選びの視点
- 参考文献
- 監修
銀歯からジルコニアへ|白い歯を選ぶ前に知っておきたいこと

銀歯を白い歯に替えたい。そう考えたとき、多くの方が最初に立ち止まるのが「どの素材にするか」「いくらかかるか」という2点でしょう。まず全体像をつかんでおくと、その後のご相談が進めやすくなります。
銀歯からジルコニアへ|白の基礎・考え方
保険診療で用いる金属の詰め物・被せ物は、費用を抑えられる一方で、色調が周囲の歯となじみにくいという性質があります。対してジルコニアは、二酸化ジルコニウムを主成分とするセラミック系材料。白色でありながら強度を備えている点が特徴です。当院が原則としてオールセラミックやハイブリッド素材ではなくジルコニアを用いているのは、強度が高く、精度を追求した作製がしやすいという材料特性を踏まえた判断からです。
銀歯からジルコニアへ|白の方法・手順
進め方そのものは複雑ではありません。①現在の状態の検査と説明、②費用や素材の選択肢のご相談、③やり替えの処置と型取り、④装着とかみ合わせの調整、という順に進みます。すべてを一度に替える必要はなく、目立つ部位から順に計画を組む方法もあります。
銀歯からジルコニアへ|白の注意点・ポイント
白くすること自体が目的になると、土台となる歯やお口の環境への視点が抜け落ちやすくなります。厚生労働省も、口腔の健康が全身の健康と関わることについて情報提供しています1。歯ぐきやかみ合わせの状態を確認したうえで素材の検討へ進む、という順序をご提案しています。
銀歯が気になる背景とジルコニアという選択肢
見た目の悩みに加えて、金属材料への体質的な反応、あるいは詰め物の境目に生じる変化を気にしてご相談に来られる方も増えました。まずは銀歯にまつわる背景を整理しておきましょう。
銀歯の隙間からむし歯が再発しやすい理由
金属の詰め物や被せ物は、装着した時点で適合していても、長い年月のあいだに接着材が少しずつ劣化し、歯質との境目にごく細かな隙間が生じることがあります。そこへ歯垢が入り込むと、内部でむし歯が再び進行しやすくなると考えられています。しかも金属の下は外から見えにくく、気づいたときに範囲が広がっていた、というケースも珍しくありません。日々のセルフケアと定期的な確認が欠かせない理由がここにあります1。
ジルコニアは白く透過性のある材料で、接着の方式も金属とは異なります。境目の適合を追求しやすいとされる点は、再治療の頻度を考えるうえでひとつの検討材料になるでしょう。ただし、どのような素材を選んでも、プラークコントロールが不十分であれば再発の可能性は残ります。
ジルコニアとセラミックの素材としての違い
ひとくちに白い歯といっても、材料には幅があります。従来のオールセラミック(長石系・二ケイ酸リチウム系など)は光の透過性に優れ、天然歯に近い質感を表現しやすい一方、強い力がかかる部位では破折への配慮が必要とされてきました。ジルコニアはこれに比べて曲げ強度が高く、噛む力の大きい奥歯にも用いやすいという性質があります。
近年は透光性を高めたジルコニアも登場し、審美性と強度の両立を目指す方向へ進んでいます。当院が前歯にジルコニアセラミックを用いているのも、前歯では色調のなじみが重視されるうえ、同時に強度も求められるためです。素材の選択は部位・かみ合わせ・残っている歯質の量によって変わるもので、診療ガイドラインでも患者様の状態に応じた個別の判断が重視されています2。
部位別に見るジルコニア治療の種類と費用相場

自費診療の費用は歯科医院ごとに設定が異なります。ここでは部位と修復の大きさ別に、当院の料金をお示しします。
奥歯に適したジルコニアインレー・クラウン
奥歯は食事のたびに大きな力がかかる部位です。むし歯の範囲が比較的小さく、歯の一部を補えばよい場合は、詰め物であるジルコニアインレー(税込66,000円)が選択肢になります。以前の治療で歯質が大きく失われている場合や、神経を取った歯を全体的に覆う必要がある場合は、被せ物のジルコニアクラウン(税込99,000円)が候補です。
判断の目安になるのは、残っている歯の厚みと、かみ合わせの力の受け方。詰め物で対応できる状態なのに被せ物を選べば歯を整える量が増えますし、逆に歯質が少ないのに詰め物で済ませると、後から歯が欠けることもあります。この見極めは、レントゲンや口腔内の精査を経てご説明しています。
前歯に適したジルコニアセラミックの特徴
前歯は会話や笑顔で目に入りやすい部位です。ここでは強度に加え、周囲の歯との色調の調和や透明感が問われます。当院で用いるジルコニアセラミック(税込121,000円)は、内側に強度のあるジルコニアのフレームを置き、その表面にセラミックを築盛して色調を整える構造になっています。
奥歯用のクラウンより費用が高くなるのは、色合わせや形態づくりに手間と技工の工程が加わるためです。費用は治療前のカウンセリングで総額をご説明します。当院は診療台ごとに説明用モニターを設置し、専用のカウンセリングルームも用意していますので、金額や本数について気になる点はその場でお尋ねください。
治療の流れと精密な作製を支える院内設備
白い歯に替える治療は、装着して終わりというものではありません。診断から装着後の確認まで、一連の工程の精度が仕上がりや持ちに関わってきます。
診断からジルコニア装着までの流れ
一般的な通院ステップは次の通りです。
- 1回目:問診・レントゲンなどの検査、お口全体の状態確認、素材と費用のご説明
- 2回目:現在の銀歯を外し、内部の状態を確認したうえで形を整え、型取り(光学印象)
- 3回目:完成したジルコニアの適合とかみ合わせを確認し、装着
内部にむし歯の再発が見つかった場合や、神経の処置が必要になった場合は、その分の回数が加わります。目安としては1本あたり2〜3回、期間はおおよそ2〜4週間程度とお考えください。処置の内容によって前後しますので、初回のご説明時に見通しをお伝えします。
口腔内スキャナーによる型取りの工夫
当院では歯科用CT、マイクロスコープ、口腔内スキャナー(プライムスキャン)などを導入し、これらを活用した精密検査を行っています。口腔内スキャナーは、粘土のような印象材を使わず小型カメラでお口の中を光学的に読み取る方法。材料が固まるまで口を開け続ける負担が軽くなる点も利点といえます。
読み取ったデータはそのままデジタル上の設計に用いられ、ジルコニアの削り出しへとつながります。歯とのわずかな段差を抑えることは、境目に汚れが停滞しにくい環境づくりにも関わってきます。細部の確認にはマイクロスコープを併用し、拡大した視野のもとで処置を進めています。精度の追求は見た目のためだけでなく、その歯を長く使うための土台づくりでもあります2。あわせて、口腔の健康維持には日々のセルフケアと定期的な受診の組み合わせが基本になる点も意識しておきたいところです1。
費用と耐久性の疑問に向き合う素材選びの視点
自費診療を検討するとき、「この出費に見合うのだろうか」という迷いが生まれるのは自然なことです。判断の助けになる視点を整理しておきます。
家計と治療計画を両立させる考え方
お子さんの教育費が重なる時期に、複数本の治療を一度に進めるのは負担が大きいものです。そうした場合は、目に入りやすい部位や、状態として優先度が高い歯から段階的に進めるという組み立て方があります。1本ずつ計画的に進めれば、月々の負担を平準化しやすくなります。
素材を部位で使い分けるのも、ひとつの考え方です。前歯は色調の調和を重視してジルコニアセラミック、奥歯は強度と費用のバランスからジルコニアクラウンやインレー、といった具合に。ご希望と優先順位を伺ったうえで、複数の案をご提示します。
長く使うためのメンテナンスの視点
ジルコニアは硬度の高い材料ですが、歯ぎしりや食いしばりの強い方では、かみ合わせの力が一点に集中して破損につながる可能性があります。就寝時のマウスピース使用を検討するなど、力への対策を並行して考えることが大切です。
そして何より、装着後の歯ぐきの状態や境目の清掃性を継続して確認していくことが、その歯を長く保つうえで欠かせません。当院では予防を目的とした処置としてパウダーメンテナンス(エアフロー)を行い、歯石やバイオフィルムの除去に取り組んでいます。院長として日頃お伝えしているのは、素材を替えることは出発点であってゴールではないということ。定期的なメンテナンスとセルフケアを組み合わせてこそ、費用をかけた治療の価値が生きてきます12。
参考文献
1. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(疾病・健康に関する情報)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/
2. 公益財団法人 日本医療機能評価機構「Minds ガイドラインライブラリ」 https://minds.jcqhc.or.jp/
鹿児島大学大学院 修了 歯学博士(口腔顎顔面外科学分野)
鹿児島大学病院口腔顎顔面外科・鹿児島県内歯科医院勤務
近畿大学奈良病院歯科口腔外科 助教・奈良県内歯科医院勤務
国際口腔顎顔面外科専門医(IBCSOMS)
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医(歯科口腔外科)
日本口腔科学会認定医
緩和ケア研修会修了
